過去最多となる9会場 / 70名以上のアーティストが渋谷に集結!
シブヤピクセルアートは、1990年代のITバブルの時代から「ビットバレー」と呼ばれる渋谷を舞台に、毎年開催される世界最大級の「ピクセルアートの祭典」です。今年は「HAKKO」をテーマに掲げ、コンピューターやビデオゲームの黎明期に、機能的な制約のもと発展した低解像度の描写、所謂「ドット絵」や「絵文字」が、さまざまなメディアや新たな表現と結びつき変化(=発酵)してきた様子を「ピクセルアート」の現在地として紹介します。また、「ピクセルアート」を単なる表現技法に止まらないアートシーンとして捉え、「アーティスト」の作品や「コミュニティ」の活動に光を当て(=発光)させることで、「ピクセルとは一体何か?」、「ピクセルアートとは一体何か?」を鑑賞者に問いかけます。さらに、今年はコロナ禍で実現できなかったアート展示や交流イベントを過去最大規模で開催し、「ピクセルアート」に関心がある多くの方々に、その多様さや奥深さに触れていただける機会になればと考えています。
SHIBUYA PIXEL ARTとは
シブヤピクセルアートは、1990年代のITバブルの時代から「ビットバレー」と呼ばれる渋谷を舞台に毎年開催される世界最大級の「ピクセルアートの祭典」です。「ピクセルアート(いわゆるドット絵)」の芸術的な価値にスポットを当て、渋谷の街全体を舞台に作品展示やフェア、トークイベントで構成され、街全体でその魅力や可能性に迫ろうとする試みです。
さらに、2025年には「ピクセルアート」の保存、研究、展示を目的とする「SHIBUYA PIXEL ART MUSEUM」を構想しています。このような場所が、世界中のピクセルアートファンの最終目的地となり、それを取り巻く文化とコミュニティの発展につながる拠点になればと願っています。
今年のテーマ
『HAKKO』について
『HAKKO』というテーマには、「発光」と「発酵」の2つの意味を込めています。そもそも「ピクセル(Pixel)」とは、Picture(絵、写真)+element(要素、元素)からなる造語で、本来はディスプレイを構成する光(色情報)の最小単位です。よって、「ピクセル」は、光の三原色(RGB)がそれぞれ量を変化させ「発光」することで私たちの目に届きディスプレイ上の色を認識することができます。しかし、Retina(「網膜」という名の)ディスプレイをはじめ、人間の網膜ではひとつの「ピクセル」をほとんど認識できないほど高精細なディスプレイが登場する現代において、「ピクセル」とは一体どのような意味を持つのでしょうか?
私たちは「発光」というテーマを用いて、「ピクセルの正体とは一体何か?」を鑑賞者に問いかけ、表現手法としてのドット絵にとどまることなく、「なぜ多くのアーティストがこの最小単位にこだわるのか?」を紐解きたいと考えています。
そして、もう一つのテーマ「発酵」は、人の目で見るには小さすぎる酵母やカビ、菌といった微生物によって引き起こさせる現象を意味します。人に有益なものは「発酵」、有害なものは「腐敗」と定義され、人間中心的な価値基準によって区別されます。微生物を「ピクセル(画材)」、微生物による化学変化を「表現」、定義づけを「鑑賞」と見立てることができるならば、文化的な背景や文脈によって受け止められ方が変わるという点も含めて、ピクセルアート、ひいては現代アートに通じるといえるかもしれません。
また、コンピューターやビデオゲームの黎明期に、機能的な制約の中で発展した表現技法を「ピクセルアート」の起源とするならば、そのような制約から解き放たれた現在において、イラストレーションやアニメーション、刺繍やアクセサリー、絵画やNFTアートなど、さまざまなメディアや表現と結びつき変化・「発酵」しているこれらの作品群は何と呼ぶべきでしょうか?
今年は、これまで6年間続けてきたピクセルアートコンテストの開催を見送り、コロナ禍で実現できなかったアート展示や交流イベントを過去最大規模で開催することで、「ピクセルアート」の表現の多様さや奥深さに迫りたいと考えています。