最優秀賞
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※最優秀賞は、2021年9月1日(水)からスクランブル交差点QFRONTの
巨大サイネージで作品放映されます。
優秀賞
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※審査員賞は9月19日(日)の
表彰式にて発表いたします。
※優秀賞の掲載順は、投稿順となります
画面に収まりきらないよ
タブレット越しに花火を見せることで「画面の中の世界(ピクセルの世界)」をうまく表している。ピクセル数と少ない色数でできたピクセルアートの良さが詰まった作品。「花火」というテーマを美しく表現するだけでなく、タブレットを用いることで奥行きを生み、「画面に収まりきらないよ」というタイトルの通り、花火のダイナミックさを見事に表現している。
無限に座席が増える山手線
何より面白くて目が離せない。ピクセルアートの醍醐味を感じさせる作品。一枚で見せるのではなく、ギミック的な見せ方にすることによりに見る人を惹きつける。何度もリピートすることでいろいろな発見があり、乗客一人一人をジッと見てしまう。ひょっとしたら表現は古典的かもしれないが、見る人によっては注目する箇所が違うだろうし会話が弾みそうな楽しさがこの作品にはある。細かい部分までよく描きこまれてつつ、デフォルメ具合もちょうど良い。
天つ鳩の宮
鳩をモチーフにすることで私たちの目まぐるしい日常を俯瞰でみせ、何か慌てて必死になっている様子を見て笑うみたいなユーモアを感じるさせる。それを見ると日々の余裕を取り戻すというか、日常のちょっとした「救い」みたいなものを感じる。また細部の描き込みも精巧で、ナチュラルでとても良いループアニメーションで洗練された作品となっている。「神主さんはお豆食べたくならないのかな?」とか、「この鳩さぼってない?」など、見るたびに新鮮な発見があり、クスッという笑いが止まらない。この作家のアニメーションは、毎回すごく間抜けだったり、滑稽だったりするようなストーリーが動きに込められている。
急がなくても、いつか会えるよ(The day we can meet again)
振り子で場面転換して時の流れを表すという仕掛けが面白く、見事に四季の移ろいを表現している。冬の部分で後ろの方のビルが空気遠近法で少しぼやけている表現など、風景の描き込みが細部にも行き渡り、作家のこだわりを感じる。冬からまた春に変わると、さっと透き通るような空気になっていくところも見ていて気持ちが良い。夏を夜にして描いたことも場面転換にメリハリが出て気持ちよく、全体を通して作家の演出力に高い評価が集まった。同時に、コロナ禍という社会性がアニメーションの中にも反映されており、春から冬まで何かをずっと待っている主人公の心象がどこか希望を感じさせた。そのようなメッセージ性やストーリーにも心惹かれた。日本人審査員の「エモい作品」という言葉も印象的だった。
_Neural TrackerⅡ
極めてユニークで、不思議で、力のある作品。シリーズで応募された「Neural Tracker」だけでなく、作家の他の作品も見ても、一貫したスタイルがあり強い個性を感じる。この点において、他にはないユニークな作品を作り続ける作家の努力は目を見張るものがある。その一方で、一部のハイライトの色が埋もれて見える部分があり、これが作家の意図的なものなのか、アクシデントなのかかわからないが、少し気になる部分があった。他の作品にはない独自性が出ているところを高く評価した。
4B8 beat
色彩感覚が素晴らしく、多くの応募作品の中でもひときわ目を引いた。虹から着想したサイケデリックでポップな背景は、画面の真ん中に佇む女子高生を際立て、全体で見た時の色彩に加えて画面構成も美しい。目まぐるしく動くGIFアニメやリフレクション(反射光)も渋谷のワクワク感やドキドキ感をうまく表現し、絵全体に強い個性を感じる。ディテールにおいても「好きなものを色々並べたらこうなった」といったピュアな発想が伺え、作家の女の子が見ているであろう「渋谷の景色」がそのまま表現されているようだ。それとは対照的に、わりと冷めた感じの女の子の表情が面白い。ドット絵としては荒削りな部分もあるが、とても惹きつけられる作品になっている。
シブヤクロスステッチ
本物の刺繍と見間違えるような、斬新なアプローチと発想が素晴らしい作品。色合いも刺繍糸を意識しているのか全体としてとても良くまとまっている。1ピクセルの認識を変えることで、様々な質感を表現できることを証明した作品で、ピクセルアートの楽しさ、奥深さにも気づかされる。そこにアニメーションが加わることで、現実ではなしえないデジタルならではの不思議で可愛いクロスステッチの世界観となっている。
departing ⚠️
一見、写実的に見える作品ではあるが、自動販売機の中、室外機、女性の表情や目元など、最低限の色数でデフォルメされており、柔らかく絶妙な雰囲気が醸し出されている。特に待合室の女性は、見る人の感情次第で、落ち着いているように見えたり、不安そうに見えたり、何かを決意したようにも見える。彼女の隣でぐるぐる回る魚は、何か彼女の脳裏を表しているようでその効果を助長させ、私たちを現実から幻想の世界へ一気に惹き込む。「departing(出発)」というタイトルからも分かる通り、「乗り物に乗る前の心情を描く」というテーマへのアプローチは素晴らしく、配色やアニメーションなども技術的に申し分ない。一方で、上から差し込む光とガラス面の表現は、「gradient(グラデーション)」などのエフェクトを使っているように見受けられ、限定されたパレットを使うというピクセルアートの一般的な定義から外れるのではないかと議論となったが、敢えて光の微妙なニュアンスを付け加えることで独自性を高め、そういうことも気にならなくなるほど綺麗な作品に昇華させたことを評価した。
Nature's Touch
日本を想起させるコンパクトで、美しいアイソメトリックスタイルの作品。日本に住んでいる人にとっては見慣れた感じではないかもしれないが、海外の人の目線で日本や東京、渋谷のイメージがミニチュアな世界に凝縮されている。背後に漂う巨大な魚?もあいまって、まるでゲームの世界に来たような不思議な感覚を与える。技術面では、線の粗さが所々見受けられるが、作家が表現したいものが作品全体によくまとまっている。
Toto 2021 kei
ドット絵のクオリティが非常に高く、色合い、動き共にファミコン調の音楽とマッチしている。少々長い動画のため、途中でさらに惹きつけられるような工夫があるとよりよいという意見も出たが完成度は極めて高い。また、独自のパレット、浮世絵テイストとドット絵の掛け合わせは秀逸で、アニメーションと作家の独創的な感性を強く感じられる芸術的な作品。
海
ピクセルアートというとカクカクしたものというイメージがあるが、この作品はすごく柔らかい印象を与える。ピクセルアートという概念に留まりながらも、スムーズな絵柄になっている点が独創的。また面白いのはこの作家の他の絵を見ると全く違うスタイルで描かれている。ダイナミックな絵に反して今回はすごく柔らかい感じの絵を投稿しており、そのギャップからも新たな表現を試み続ける作家の姿勢が伺える。柔らかい絵柄でありながら「アンチエイリアスがない」という手法も審査員を驚かせた。今後も、今回のようなスタイルを積極的に制作してほしい。
adidas特別賞
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街に溺れる
この作家は「01.終電過ぎた」「02.夜は長い」「03.始発待ち」「04.街に溺れる」の連作によって、本来「目を当てたくないある種の惨劇」を作家個人の「渋谷体験(記憶)」として作品に昇華しているところが興味深く印象的だった。こうしたシリーズから読み取れる作家の構成力(ストーリテリング)やドット絵やアニメーションの技術力、そして、adidas loverであることを証明する過去作から、今回のadidas特別賞に相応しいと考え選定させていただいた。
Limited Pixel Art賞
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画面に収まりきらないよ
コロナ禍の特殊な生活様式の中で、希望を感じることができた作品。打ち上がった花火を撮影するのではなく、過去に撮影した動画から空に花火がはみ出していくという発想は、コロナ禍ならではの心情が秀逸に表されている。遠くの景色と手元の様子がダイナミックに繋がっていて、映像としての構成が面白く、「PIXOO」で表示してみたくなるような楽しさがあった。
ハチ公の眺める空
複数のコンテストテーマが自然にちりばめられており、色使いのバリエーションが多彩。繊細な空の表現に合わせて、ハチ公が色を変える表現など素晴らしい。鮮やかにグラデーションを用いている部分と最小限のピクセルで表される雲や花火のハーモニーが楽しく、ずっと眺めていたくなる作品。
Shibuya henshin girl(s)
渋谷にいる人々の特徴がよく捉えられていて、作家自身が考える渋谷らしさが伝わってくる。テンポのよいアニメーションで女の子が変身する展開は、この作品に楽しさを与えている。ファミコンに出てくるようなキャラクターでありながら、ファッションで現代っぽさが表現されている。
・・・
黒背景に白ドットのみの単純な構成で、愛嬌溢れる表情をうまく表している。最後ウインクする感じがとても良い。結局、4×4pxしか使っておらず、Limited Pixel Art賞に最も相応しい作品かもしれない。今回の副賞である「PIXOO-SLINGBAG」についているとまるで生き物を持ち歩いているように見えるだろう。
Analog Pixel Art賞
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北谷公園
手前の起伏に富んだ地形と、奥にあるシンプルにまとまった建物のバランスが良く、箱庭的な楽しさがある。また、ナノブロックで表現することでアイコン的な要素が際立ち、技巧的で、見るひとの想像を掻き立てる。作品を見ていると実際にその場所に行ってみたくなる。これまで毎年コンテストに応募されていることや毎年渋谷に誕生する新しい建物をモチーフに制作されていることも評価に繋がった。
Pixel Art GIF Animation賞
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急がなくても、いつか会えるよ(The day we can meet again)
春夏秋冬と繰り返す季節。光の反射や季節ごとに塗り分けられた配色から、空間温度の異なりを感じることができる。細部を見れば見るほど様々な演出やオブジェクトの動きを発見する。3秒で心を奪い、ずっと見続けてしまう画面の細かな表現の数々。GIFアニメーションならではの表現を楽しむ作品として選出された。
Beyond Pixel Art賞
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_Neural Tracker
「_Neural Tracker」は、直訳すると「神経の追跡者」とでも言い換えられるかもしれないが、ピクセルを「画面を支配する色情報」と捉えた時に、その色相や明るさ、鮮やかさを網膜神経がどのように受け取り、どのように運ぶのかによって見えるイメージが変化する。そんなピクセルアートの奥深さや人間の色覚メカニズムをテーマにする作品に、シリーズの面白さを感じる。
審査賞
審査員賞は、2021年9月19日(日)の表彰式にて発表いたします。
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渋谷員子賞
渋谷員子サイン入り画集(FF DOT.-The Pixel Art of FINAL FANTASY)&スクウェアエニックス本社にて対談インタビュー
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eBoy賞
eBoyサイン入りポスター
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杉山央賞
次回開催予定の
Media Ambition Tokyo
へ作家としてご招待 -
mae賞
渋谷で開催予定のmae個展にてコラボ展示
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Klas Benjaminsson賞
nicepixel発行の画集
(The Masters of Pixel Art) -
ヘルミッペ賞
受賞者の作品でリソグラフ制作
※リソグラフ・・・理想科学工業が1980年から販売しているシルクスクリーン印刷機。
特別審査員のコメント
特別審査員:渋谷員子
去年と比べると作品数は少なかったが、落ち着いた作品、静かな作品が多かった気がします。個人的には16×16の作品が多く、それがすごく嬉しかったです。16×16は選ぶのも大変で、GIFアニメもあって、部門賞の選定もすごく悩みました。でも結構いいのが選べたと思います。また来年もピクセルアートの原点みたいな16×16の作品にみんなが挑戦してくれると嬉しいです。毎年みなさんのさまざまな切り口やアプローチに驚くことが多いのですが、私の中では「ピクセルアートで人を笑顔にする」ということを大事にしているので、今後もそういう作品が増えることを期待しています。
特別審査員:eBoy
今年のコンテスト応募者の作品は、非常に印象的で、多様性に富んでいて、刺激的なものばかりでした。ピクセルアートへの熱量は、NFTの登場とともに高まっており、多くの新しいアーティストが自らの表現手段としてピクセルを選んで楽しんでいます。受賞者の皆様には心からお祝い申し上げます。そして主催者と審査員、ご参加いただいた全ての皆様に感謝いたします。改めて、本当に素晴らしいイベントですね!
特別審査員:杉山央
普段から色々なテクノロジーを通じた表現とかに接していますが、ピクセルアートの制限される中で作られる美しさとかストーリーがとても面白く感じました。特に、若手作家の作品などを今回拝見して、ピクセルアートシーンの将来性をますます感じる会でした。シブヤピクセルアートをきっかけにこれからも新しい作家が参加することを期待しながら審査させていただきました。最終審査会では、ピクセルアートを作られている審査員と意見交換できたことで、ピクセルアートが持っている意味合いや技術的背景などとても勉強になり、ピクセルアートの奥深さを感じる時間でした。今回ピクセルアートの審査員をやらせていただき本当にありがとうございました。
特別審査員:mae
今年は独自性を感じる作品が多かったように思います。ピクセルの認識への試みがたくさんあり、やりたいことを自由にやっている印象で、自分の色の出し方を作品から感じます。ピクセルアートのスタイルはたくさんありますが、自分が良いと思うものを描いて、自分で定義していることが大事なのだと感じています。コンテストに期待することとしては、プロとして活動されている方はもちろん、初めてドット絵を描く人も参加したくなる雰囲気作りが良いと思います。国も年齢も超えて、それぞれが認め合う。様々な人が自分の作品を見てくれたという経験は素晴らしい価値になります。大きいキャンバス(高解像度ピクセル)も小さいキャンバス(16×16や32×32)も同じように評価があることが大切ですね。
特別審査員:Klas Benjaminsson
私やeBoyに意見する時間をたくさん与えてくれてありがとうございます。あくまでこれはシブヤピクセルアートのコンテストなので、東京在住のクリエイターである審査員の声を一番に踏まえてもらえればと思います(笑)私がSNSで情報をシェアしたことでヨーロッパからの応募者が増え、より国際的なイベントとなったことをとても嬉しく思います。
特別審査員:ヘルミッペ
去年はドット絵を描いている人なら目にしたことがある方の参加やノミネートが見受けられましたが、今年は若い方が気軽に参加されているのが目立っていました。ピクセルアートが広く認知されていっているということだと思います。技術が秀でているものはやはり素晴らしいですが、書き始めて日が浅い方の絵は印象的で自分が描き始めた時の楽しさを思い出させてくれます。上手な人の個性は自分と違う人生を歩んだ先で生まれたものなので好みの話になりますが、描き初めはみんな共通して楽しいからという動機なので共感性があると感じられました。
総評
シブヤピクセルアート
実行委員会
今年も、大変多くの作品を国内外、プロ・アマチュア・上級者・初心者問わずご応募いただき、本当にありがとうございました。今回は海外からの参加者や若い方々のご参加も多く、広く開かれたコンテストになってきたかと実感しました。また、私たち実行委員会のメンバー全員が応募されるすべての作品に目を通し、多くの素晴らしい作品に感動させられたこと、さらに審査の結果として、オリジナリティに溢れた作品が並び、昨年とは大きく異なる顔ぶれになったことを素直に嬉しく思います。私たちは、これまでも多様性に溢れた世界標準のアートコンテストをここ渋谷で開催したいと考えてきました。そういう想いから今年は海外審査員も2組招致しました。最終審査会では賑やかなムードの中、ピクセルアートとは一体何か?何がピクセルアートの魅力なのか?などさまざまなバッググラウンドを持つ審査員と議論できたことは大変有意義な時間でした。審査員は、多くの素晴らしい作品の中から技巧を凝らした個性豊な作品の選出に最後まで苦労された印象でしたが、なんとか最優秀賞・優秀賞のノミネート作品と部門賞ノミネート作品を決定いただきホッとしています。そして、残念ながら選出から漏れてしまった方も、あなた自身や誰かのマスターピースであることを確かめらながら、今後も懲りずにご参加いただけましたら幸いです。